序・米軍基地問題
沖縄で数十年も問題として残っている米軍基地問題
第二次世界大戦で1945米軍上陸をきっかけに沖縄は焦土と化した。
文化財の破壊や一般市民の20万人にものぼる甚大な犠牲を払った。
この時日本は沖縄で長期に渡り抵抗を続け、本土上陸への時間を稼ぐという選択をしている。 言うまでもないが犠牲になったのは兵士だけではない。
米軍はこれを機に当時悪化していた朝鮮半島や中国の発生などの為に沖縄を完全に軍事用の拠点として認識し、無償で土地を使用していた。
そしてその傷跡が現在2017年になっても残っていて様々な問題と密接に関わってしまっている。
米国は沖縄を守ってくれるのか?
基地に対する日本側からの助成金は一体?
そして新しく米軍基地が建設・移転される事によって自分たちにふりかかってくるコストを無視していないか?
ただ基地があるのはおかしいよねという話ではなく、社会で生活している私たちの根本に存在する"僕たち"と"誰か"という二項からこの問題を切り開いていきたい。
沖縄は”私たち”である
ワイドショーのニュースや新聞で掲載されるヘリ墜落事件や婦女暴行事件などで沖縄に潜む問題を知るきっかけを得る事がある。
しかしそれは氷山の一角であり、沖縄で放送されているニュースは本土で流れていないようなものも多く流されているのだ。
学校の敷地内にヘリが墜落した時は注目を集めた事もあったが、それは時間とともに「そういう事もあったね」という事で流されてしまい、何故どうしてそのような事が起こったのか?そもそもこのような事が起こる根本的な次元での問題とは何なのか?という事には多くの時間が割かれずそのままになってしまっている。
婦女暴行に関しても本土で起こるような暴行事件とは何かが違うという認識がない。
兵士が居なければ無くなるという事は無いが、根の問題として捉えるべきだ。
このような問題に対して日本側から米国に強く言うという事を全くしない現状からして政府の見識は”沖縄は未だ占領下にある”というものであると言えよう。
そしてその政府を壊れた民主主義で支えているのは言うまでもなく私たちである。
現首相は「沖縄の米軍基地は、米軍が安全に現地の法を侵す事なく使ってもらうという事が大前提であります」などと言っているが、現状とのギャップを埋めるような行動は無い。
これらの事件が本土で起こっていた場合のリアクションを考えると”私たち”と”彼ら”の問題が浮上してくるだろうと想像出来るが、もはや全てが対岸の事故として認識されてしまうような気がしてならない。
売春宿
言論人が沖縄には売春宿が多いという話をしていたが、この事情も日本側が性の現地調達という戦争的な理論から米軍に頼んだ為にそうなったという話だ。
性の現地調達とは戦争で戦地に兵士が行くと弾薬や食料などはストックに限界があるため現地で略奪をする事になる。
そして性という観点からも女性の人間性の略奪が起こり病気も蔓延してしまう事から第一次大戦辺りで所謂”売春婦”という制度をもってあまりにも非人道的な行為はやめましょうと取り決めをしたのだ。
沖縄に売春宿が多いという事もこのロジックであり
男社会の病理、女性差別である。
基地は日本側が”置いてもらっている”のか米国側が”置いている”のか
米軍が基地を置いているのは日本が置いてもらっているというものと、占領という形で始まった置かせてもらっているという二つの論理が交錯している。
日本が置いてもらっているという話はアジア情勢に対して米軍に守ってもらおうという日米の安全保障からなる理論である。
現在は北朝鮮情勢や中国の一言で言えば怪しい状況によってアメリカに守ってもらおうという意識が強く、メディアなどでもほとんど問題提起がされていない。
米国側からすれば沖縄は明らかに戦争によって占領した土地である
返還協定の時の話を少ししておくと
返還にはA・B・C表とあり
Aは「返還されない基地」
Bは「時期を見て返還される基地」
Cは「即時に返還される基地」
である。
1972年(昭和47年)に沖縄が本土に返還されて以降返還されたのはわずか18.7%であり、本土と沖縄を含めた全体の74.3%の基地が沖縄に集中している。
専用施設と一時的使用施設
日本にある米軍基地には二種類ある。
専用施設:米軍専用の基地施設
一時使用施設:日本の自衛隊基地などを米軍が一時的に使用する施設
本土の米軍が使用する施設はほとんどが一時的使用施設である一方で沖縄にある米軍基地はほとんどが専用施設である。
・沖縄の米軍基地の専用施設の割合:沖縄の基地面積の98.4%
・本土の米軍専用施設の割合:本土の基地面積の10.1%
個別的自衛権と集団的自衛権
数年前に集団的自衛権の行使について政府が予算委員会である答弁をした。
それはもし外国船や外国に日本人が居て戦争に巻き込まれた場合、集団的自衛権を行使し他国の援助を行う旨の話だった。
当時から憲法学者や専門家が「それは個別的自衛権の枠の中の話ではないですか?」と質問などをしていたがその通りなのである。
もし自分たちの国で戦争が起きて外国人が居た場合「助けなくていいよね」なんて事になる国は無いだろう。
沖縄が中国に攻め込まれるなどといった話から自民党が薦める集団的自衛権を擁護する人も居るがそれは全くの間違いであり、それは有事において日本が沖縄を個別的自衛権で守るという事だけの話だ。
集団的自衛権を行使しアメリカが他の国に攻撃しエスカレートし戦争になった場合日本側はアメリカの要請を断れず、戦争に巻き込まれる事になる。
それはつまり日本がある国から”敵である”というハンコを押される事になるという事だ。
1945-2017 対米従属
沖縄の問題は今も癒えていない
癒えていない所か中央政府はその問題を見ず、ひたすら対米従属の道を歩もうとしている。
日本の事は日本で決め、国家の安全は日本国の主権によって守るべきだ。
敗戦国であるという事を敗戦国では無いと思いたい人達に主導権を渡してはならないと思う。